虚仮コツ考

辺根えむのブログ

GrandOrgue ヘルプ:第6章 本体設定

この記事は GrandOrgue のヘルプ "Chapter 6 : Program Settings" を勝手に日本語訳したものです。(ヘルプ日本語訳の目次ページ

まだ日本語として変だったり、意味が取っていない箇所が多々あります。また、図は転載せずに「図」と表記するだけに留めています。必ず原文と照らし合わせの上でご利用ください。

訳出したバージョンは v3.9.5-1 (Jan 23, 2023) です。

以下、訳文です。(文脈や指示語はすべて GrandOrgue に対応するものであり、このブログとは全く関係ありません。)


第6章 Program Settings - 本体設定

Program Settings のタブ画面は、 File メニューに入っている Settings... を選択すると現れます。

ここでは GrandOrgue の "システム全体に関わる" 設定を扱います。言い換えると、ここでの設定はどんなサンプルセットにも適用されます。

これらの設定の保存先となる場所はプラットフォームによって異なります。

Windows の場合: registry key HKEY_CURRENT_USER¥Software¥Our Organ¥GrandOrgue および %APPDATA%¥GrandOrgueConfig file

Linux の場合: $HOME/.GrandOrgue および $HOME/GrandOrgueConfig

macOS の場合: $HOME/Library/Preferences/GrandOrgue

起動時に GrandOrgue -i instanceName のようにインスタンス名を付けると、上記の GrandOrgue の部分が GrandOrgue-instanceName に変わり、 GrandOrgueConfig の部分が GrandOrgueConfig-instanceName に変わります。

設定を初期値にリセットしたい時は、プラットフォームに応じた "設定ファイル" を削除してください。

Options tab - オプション設定タブ

図 6.1 一般の設定タブ

Language frame - 言語の選択

使用する言語を選択してください。変更後は本体の再起動が必要です。注意点として、いくつかの画面では OS の言語セットが使用されることがあります。

Enhancements frame - 強化機能関連

Active polyphony management - 同時発音数の積極抑制

同時発音数が設定した上限値の 3/4 に達すると、リリース部分のサンプル(残響の伸び)をフェードアウトさせて同時発音数を節約します。

メモリ:影響なし

同時発音数:節約する

読み込み時間:影響なし

Release Sample Scaling - スタッカート時にリリースを短縮

残響が長い ("wet") サンプルセットに対してこのオプションを有効にすると、ノートがスタッカートで演奏された時にリリースのサンプルをフェードアウトさせます。 "dry" なサンプルセットではほとんど効果がありません。

メモリ:影響なし

同時発音数:影響なし

読み込み時間:影響なし

Randomize Pipe Speaking - 音程のランダム分散

毎回パイプを鳴らす前に、ごく僅かにピッチに対してランダムなずれを与えます。チューニングの違いを聞き分けられないくらいに小さいずれですが、これにより実物のオルガンを演奏中にパイプ間で(物理的な配置のために)発生するごく小さな干渉を近似することができます。

メモリ:影響なし

同時発音数:影響なし

読み込み時間:影響なし

Load last file at startup - 起動時にサンプルセットを自動読み込み

起動時に最後に使ったサンプルセットを自動的に読み込みます。

メモリ:影響なし

同時発音数:影響なし

読み込み時間:影響なし

[訳者註:選択肢は以下の通りです:

  • Load last file at startup - 起動時に最後に使ったサンプルセットを読み込む
  • Load first favorite organ at startup - 起動時にメニューの File > Favorites で一番上のサンプルセットを読み込む
  • Start without any organ - 起動時にサンプルセットを読み込まない

Sound engine - サウンド処理エンジン関連

Interpolation - 補間方式

このドロップダウンでは、サンプルのリサンプリング時に波形の補間に使う方式を選択できます。

Polyphase:音質面で優れていますが、 CPU 負荷が大きくなります。

Linear:CPU 負荷は小さいですが、音質面で劣ります。ロスレス圧縮の有効時には Linear だけが選択できます(ロスレス圧縮に対応する Polyphase が実装されていないため)。

音質についての上記の想定はただの目安です。経験則では、 Polyphase は高音域に優れるのに対して Linear は低音域に優れていて、この傾向は特に(例えば、音程がずれたオルガンをチューニングするために)広範囲にわたって補間が施されたサンプルセットで最も顕著になります。音質はとても主観的なものなので、ユーザーは自分自身の耳で確かめて自分に合った設定を使い続けることが強く推奨されます。

メモリ:影響なし

同時発音数: Linear だと同時発音数を増加可能

読み込み時間:影響なし

Number of CPU cores - 使用する CPU コア数

GrandOrgue が負荷を分散させるために作成するスレッド数です。 Hyper-threading 非対応のコンピューターではコア数が推奨される値になります。それより低い値であればコンピューター全体を使うことはなく、それより高い値であればオーバーヘッドの処理にリソースを消費します。

Hyper-threading が有効であれば、 CPU の負荷は仮想コアに、より均等に分散されるようです。

メモリ:影響なし

同時発音数:コア数が多いほど、音が壊れ始めない同時発音数の範囲が広がる

読み込み時間:影響なし

Workload distribution - 作業負荷の分散

この数値は上記の Number of CPU cores に似た役割をもつもので、作業負荷の分散に使われます。 CPU コア数と同じ値にすることが推奨されます。

メモリ:並行処理と同じ

同時発音数:並行処理と同じ

読み込み時間:並行処理と同じ

Cores used at load time - 読み込み時の使用コア数

GrandOrgue がサンプルをメモリに読み込む際に作成するスレッド数です。サンプルをキャッシュから読み込む場合には効果はありません

値が高いほど読み込みが高速になりますが、サンプルの加工に使えるメモリが減少します。値が 0 だと旧来の方式で読み込みます。

Recorder WAV Format - 録音時の WAV 形式

オーディオ録音で使用する形式を選択します。対応フォーマットは、 8, 16, 24 の各ビット精度の PCM と、 32ビット精度の IEEE 浮動小数点数です。

メモリ:影響なし

同時発音数:影響なし

読み込み時間:影響なし

Record stereo downmix - マルチチャンネル出力のステレオ録音

このチェックボックスを有効にすると、 GrandOrgue はマルチチャンネルの音声を単にステレオで録音するようになります。このオプションは初期設定では無効になっていますが、それはこの機能がオーディオ録音がオフの時にさえ CPU 使用量を増加させるからです。

ステレオへのダウンミックスが無効の時は、全てのオーディオ・チャンネルが WAV ファイルに録音されます。

メモリ:影響なし

同時発音数:僅かに影響 - オーディオ・インターフェースの追加と同様

読み込み時間:影響なし

Volume - 音量の初期値

このスピナーは音量調整の初期値を決定します。 GrandOrgue インスタンスの最初の起動時に値が -15 に初期化されます。この値は設定ファイルに保存されます。

Sample loading frame - サンプルの読み込み関連

Lossless compression - 読み込んだサンプルのロスレス圧縮

ロスレス圧縮のアルゴリズム(元のサンプルを完全に再構成できる)を使うことで RAM の必要量を抑制します。特に大きなサンプルセットで役立ちます。

メモリ:場合によっては 40% まで節約

同時発音数: 10 % ほど減少

読み込み時間: 20 % ほど遅い。キャッシュを使わずに読み込む場合にしか効果がない(キャッシュされるデータは圧縮済みなので)。

Load stereo samples - ステレオ・サンプルの読み込み

ステレオのサンプルをモノラルとステレオのどちらで読み込むかを選択できます。

Mono を選択した場合は、全てのサンプルがモノラルで読み込まれます。圧縮の無効時には 50% の節約になりますが、圧縮の有効時には節約できる量が減ります(モノラル入力に対する圧縮効率が低いため)。

この設定で Don't load を選択して、 GrandOrgue がどのサンプルも読み込まないようにすることもできます。その状態のまま Organ settings でオルガンの特定部分だけを読み込むよう設定することが可能です。

メモリ:場合によっては 50% まで節約

同時発音数:僅かに影響(モノラルで読み込んでもサンプルあたりの計算量は僅かにしか減らないため)

読み込み時間:影響なし

Sample size - サンプルのビット精度

サンプルを 8, 12, 16, 20, 24 のどのビット精度で読み込むかを選択できます。

メモリ:大いに影響

同時発音数:ビット精度を下げると増加、上げると減少

読み込み時間:僅かに影響

Loop loading - 読み込むループの選択

サンプルが複数のループ部分を持つ場合に、どのループを読み込むかを選択できます。

First loop:最初のループだけを読み込みます。

Longest loop:最長のループだけを読み込みます。通常、ループが長いほど鮮明に感じるようになります。

All loops:サンプル内で見つかった全てのループを読み込みます。演奏中は、ループがラウンドロビン方式の順に使われます。

メモリ:消費量は First loop < Longest loop < All loops

同時発音数:影響なし

読み込み時間:データを読み込む量に応じて増加

Attack loading - 読み込むアタックの選択

サンプルセット製作者は複数のアタック用ファイルを提供することが可能です。ここではどのアタックを読み込むかを選択できます。

ALL:全てのアタック用ファイルを読み込みます。

Single attack: "最良" として提供されたファイルだけを読み込みます。

メモリ:Single atacck < All

同時発音数:影響なし

読み込み時間:読み込まれるデータ量に応じて増加

Release loading - 読み込むリリースの選択

サンプルセット製作者は複数のリリース用ファイルを提供することが可能です。ここではどのリリースを読み込むかを選択できます。

ALL:全てのリリース用ファイルを読み込みます。サウンド処理エンジンが演奏に使うリリースは、毎回サステイン・サンプル(ループされた部分)の持続時間に応じて選択されます。

Single attack: "最良" として提供されたファイルだけを読み込みます。

メモリ:Single atacck < All

同時発音数:影響なし

読み込み時間:読み込まれるデータ量に応じて増加

Memory limit - メモリ上限の設定

サンプルの読み込み先となるメモリキャッシュのサイズを選択します。この機能は特に 32ビット版 WIndows を 64 ビットのプラットフォームで構築した場合に、大きなサンプルセットの読み込みによるクラッシュを回避するのに有用です。

値が 0 のときは、できる限り多くのデータを読み込もうとします。

注意

値が 0 の場合、 OS がメモリの用意に失敗するまで GrandOrgue は読み込みを続けます。その場合はスワップ領域が大きくなって、パフォーマンスに対して逆効果となると予想されます。

Cache frame - キャッシュ関連

Compress cache - キャッシュの圧縮

キャッシュの作成や更新の時に、ディスクのキャッシュを圧縮するかどうかを選択します。

メモリ:影響なし

同時発音数:影響なし

読み込み時間:非圧縮のキャッシュからの読み込みは I/O の制約を受け、圧縮されたキャッシュからの読み込みは CPU の性能が求められます。遅いディスク + 高速な CPU では圧縮が有利かもしれません。

この機能はハードウェア性能と深い関係があるので、ユーザーは自分自身の耳で確かめて自分に合った設定を使い続けることが強く推奨されます。

Automatically manage cache - キャッシュの自動管理

サンプルセットの読み込み時に、キャッシュの作成や更新を自動的に行うかどうかを選択します。

Perform strict ODF - ODF の厳格モード

オルガン定義ファイル (ODF) の記法は Hauptwerk™ バージョン 1 の時代から大きく変わっています。 Hauptwerk™ 1 のキーワードの中には GrandOrgue で使用されず、ポップアップ画面で警告メッセージが出るものがあります。

ODF の警告を GrandOrgue に取り入れる作業は、 2段階の開発プロセスに分かれます:

  1. ODF の構文解析ツールに新しい警告が追加されます。その警告はこの ODF 厳格モードでのみ表示され、サンプルセットの設計者に自分のオルガン定義ファイルから(ユーザーを煩わせることがないように)新しい警告を取り除く猶予を与える。
  2. 適切な月数が経過してから、その警告が通常モードに採用され、常に表示されるようになる。

このチェックボックスをマークすると、 ODF 厳格モードが有効になります。

サンプルセット製作者は、警告を除外してユーザー体験を向上させるために、自分のオルガン定義ファイルをアップデートすることが強く推奨されます。

同様に、 GrandOrgue ユーザーは新しい警告が出るようになったことをサンプルセット製作者に知らせることが強く推奨されます。

Metronome - メトロノームの初期値

これらのスピナーは Metronome パネルで設定する、1分あたりの拍数 (BPM) や 1小節あたりの拍数における初期値を決めるものです。 GrandOrgue インスタンスの最初の起動時では、1分たりの拍数 80 に、1小節あたりの拍数は 4 に初期化されます。ここで決めた値は設定ファイルに保存されます。

Paths tab - パス設定タブ

図 6.2 パス設定タブ

これらのテクスト欄では様々な保存場所に対するデフォルトのパスを設定できます。初期値では GrandOrgue フォルダ内のどこかへ、ユーザーのホーム・フォルダを基準とした相対パスで、ローカライズされた名前で設定されます。各テキスト欄の隣に置かれた ... ボタンでその値を変更できます。

GrandOrgue ディレクトリの位置は OS に依存します:

Linux の場合: \$HOME/GrandOrgue/Organs

Windows の場合: %HOMEDRIVE%¥%HOMEDIR%¥Documents¥GrandOrgue

macOS の場合: \$HOME/Documents/GrandOrgue

Path usage - 各パスの使い方

Sample sets

GrandOrgue がサンプルセットを検索するフォルダです。メニューの File > Open ではこの場所が開かれます。

デフォルト: Organs

Organ packages

GrandOrgue がオルガン・パッケージファイルを検索するフォルダです。このフォルダ内に置かれた全てのオルガン・パッケージファイルが、次回の GrandOrgue 起動時にオルガン定義ファイルがないか自動的に探査され、その結果パッケージファイルで発見された全ての ODF が登録されたオルガン一覧に追加されます。

デフォルト: Organ packages

Organ cache

キャッシュファイルが保存されるディレクトリです。

デフォルト: Cache

Organ settings

プリセットの設定ファイルが保存されるディレクトリです。

デフォルト: Data

Export/Import

GrandOrgue が設定ファイルを保存・検索するフォルダです。File メニューの Import SettingsImport CombinationsExport Settings/Combinations を選択した時にこの場所が開かれます。通常はこのフォルダは、 GrandOrgue がプリセット用ファイルを保存するフォルダとは別のものになります。

デフォルト: Settings

Audio recording

GrandOrgue が録音した音声ファイルを保存するフォルダです。オーディオ録音STOP ボタンが押された時にこの場所が開かれます。

デフォルト: Audio recordings

MIDI recording

GrandOrgue が録音した MIDI ファイルを保存するフォルダです。 MIDI 録音STOP ボタンが押された時にこの場所が開かれます。

デフォルト: MIDI recordings

MIDI player

GrandOrgue が録音した MIDI ファイルを検索するフォルダです。メニューで Audio/Midi > Load MIDI を選択した時にこの場所が開かれます。

デフォルト: MIDI recordings

Audio tab - オーディオ設定タブ

図6.3 オーディオ設定タブ

この画面ではオーディオ出力デバイスを選択したり、オーディオ出力がどのチャンネルやオーディオ・グループに送られるかを決定したりできます。また、 Sound output 設定ではオーディオ・ストリームのパラメータを、 Sound port 設定では表示するデバイスやドライバを選択することができます。

Channel :現実世界におけるオーディオ・デバイスのチャンネルです(例:ステレオボードの左右)。 GrandOrgue のチャンネル名は常に Channel 1 から Channel n と付けられていて、 n はオーディオ・デバイスで利用可能なチャンネル数になっています(ステレオなら 2、サラウンド 4.0 なら 4、など)。 GrandOrgue のチャンネルと、オーディオ・デバイスの物理的なチャンネルとの接続関係は、試行錯誤して探るしかありません。

Audio groups :

オーディオ出力を個々のパイプからオーディオ・デバイスの特定のチャンネルへ送るにはルート設定が必要ですが、オーディオ・グループはそのルート設定の微調整に使われる名義です。詳しくは Organ settings をご覧ください。

Audio groups frame - オーディオ・グループ関連

ここでオーディオ・グループを管理します。上述のように、オーディオ・グループは個々のパイプのオーディオ出力をオーディオ・システムの構成要素に割り当てるために使われます。

システムには少なくとも1つのオーディオグループが必要で、システムが初期化されると Default audio group というデフォルト名をもつオーディオグループが用意されます。

この Default audio group常にオーディオグループ一覧の最初に表示されます。 Default audio group の名前はいつでも変更可能です。

Add - オーディオ・グループの追加

Add ボタンを押すと、新しいオーディオ・グループの名前を入力する画面が開きます。

注意

読み込まれたサンプルセットで使用されていないオーディオ・グループが存在すると、処理にオーバーヘッドが生じて、同時発音数が減少するので、不必要なオーディオ・グループを追加することは控えてください。

Delete - オーディオ・グループの削除

このボタンは、一覧でオーディオ・グループの名前が選択された時に利用できます。 Delete ボタンがアクティブの時にボタンを押すと、選択したオーディオ・グループが削除されます。

注意

削除されたオーディオ・グループが(Organ settings 画面で)オルガンの構成要素に割り当てられていた場合、そのオーディオ・グループにルート設定されていた全てのパイプが、自動的にデフォルトのオーディオ・グループへとルート設定されます。

Rename - オーディオ・グループの名前変更

このボタンは、一覧でオーディオ・グループの名前が選択された時に利用できます。 Rename ボタンがアクティブの時にボタンを押すと、 Add の時と同様にオーディオ・グループの名前を変更できる入力画面が開きます。

注意

名前が変更されたオーディオ・グループが(Organ settings 画面で)オルガンの構成要素に割り当てられていた場合、そのオーディオ・グループにルート設定されていた全てのパイプが、自動的にデフォルトのオーディオ・グループへとルート設定されます。

Sound output frame - サウンド出力関連

Sample rate - サンプルレート

サンプルの出力レートを周波数で選択します。選択肢は 44100, 48000, 96000 Hz です。

このサンプルレートはリサンプリングを避けるため、オーディオ・インターフェースで設定されたサンプルレートと収録サンプルのサンプリング周波数の両方と一致させておくべきです。一致していない場合は、オーディオがスタックされる全てのレイヤーにおいてリサンプリングの可能性が生じ、そのせいで音質が損なわれることがあります。

Samples per buffer - バッファするサンプル数

値を 16 以上 1024 以下の 16 刻みで選択します。

この値によって出力バッファのサイズが決まります。値を大きくすると通常はサウンドアーティファクトが減りますが、遅延時間が増します。

Sound ports frame - サウンド・ポート関連

Sound ports - サウンド・ポート

バイス/ドライバのチェックを付け外しすることで、デバイス選択画面の一覧に表示されるデバイスをフィルタすることができます。

Managing Devices - デバイスの管理

Add device - デバイスの追加

この機能は Audio Output のノードが選択されている時に利用可能になり、 Add ボタンがアクティブになります。このノードを使うことで、複数のオーディオ・デバイスを追加することが技術的に見て可能になります。

注意

複数のオーディオ・デバイスに現状では対応していません。複数のオーディオ・デバイスを設定すると予測不可能な結果となります。警告が表示され、それが承認された場合に新しいオーディオ・デバイスが一覧に並びます。

Add ボタンを押すと選択肢一覧が開きます。選択肢となるのは、システムに発見された全てのオーディオ・デバイスです。

各オーディオ・デバイスの先頭にはそのサウンド・ポートや API タイプ(ASIO, DIrectSound, ALSA, JACK 等)が付きます。

希望するオーディオ・デバイスを選択すると、デバイス一覧が更新され、一つのチャンネルを持った状態で初期化された新しいデバイスが追加されます。

新しいデバイスが使える状態になるには、さらに構成設定が必要です。詳しくは Managing Channels をご覧ください。

メモ

複数デバイスの構成設定には対応していません

Change device - デバイスの変更

この機能はツリーの中にある Device: のノードが選択された時に利用可能になり、 Change ボタンがアクティブになります。押すと、デバイスの追加と同じ選択肢一覧が開きます。

希望するデバイスを選択すると、デバイス一覧が更新されます。その時、デバイスは変更されますが、チャンネルの構成設定は保持されます。

Delete device - デバイスの削除

この機能はツリーの中にある Device: のノードが選択された時に、ツリーの中に少なくとも2つ以上のデバイスが存在する場合に利用可能になり、 Delete ボタンがアクティブになります。

削除するデバイスを選択して Delete ボタンを押すと、そのデバイスがツリーから取り除かれます。

Device properties - デバイスのプロパティ

Properties ボタンは、ツリーの中でオーディオ・デバイスが選択された時にアクティブになります。押すと、 Desired latency求める遅延時間)を設定できる画面が開きます。

注意

この機能は Options タブ画面の Samples per buffer 設定と深い関係があります。その動作は選択されたバックエンドによって変化します。

Audio driver selection - オーディオ・ドライバの選択

GrandOrgue は2つのオーディオ・バックエンドを備えています:

RtAudio の場合: Desired latency の値に基づいてバッファ数が選択されます。 samples per buffer やサンプルレートはサウンドカード/ドライバが対応するものでなければなりません。対応していない場合は、サウンド表現が壊れます。

PortAudio の場合: Desired latency の設定、 samples per buffer の設定、サウンドカード/ドライバの性能を使って、バッファ処理が決定されます。そのようなドライバは名前に (PA) が付きます。

Audio/Sound Output State実際の遅延時間を表示しようとします。注意点として、この予測はハードウェアやドライバーが伝える数値に基づいているので、変動することがあります。 RtAudio のほうが低い数値を表示しがちです。

Windows

WDM/KS

このドライバは直接 Windows カーネル・ドライバにアクセスできます。1このカーネルのオーディオ・ストリームへのアクセスを阻害するような他のソフトウェアが存在しない場合に推奨される選択肢です。 PortAudio でのみ使用可。

WASAPI

WASAPI は Windows Vista 以降でサポートされています。 WDM/KS でうまくいかない場合に使用してください。 PortAudio でのみ使用可。

GrandOrgue のサンプルレートは、オーディオのサブシステムのサンプルレートと一致していなければなりません。 WASAPI が動作しない場合、 GrandOrgue のサンプルレートを変えてみてください。

DirectSound

WDM/KS と WASAPI でうまくいかない場合に使用してください。 PortAudio と RtAudio で使用可。

WMME

旧来の、低遅延ではないオーディオ API です。最後の選択肢として使ってください。 PortAudio でのみ使用可。

ASIO

GrandOrgue は ASIO に対応するようにコンパイルできます。 PortAudio と RtAudio で使用可。 ASIO はサードパーティのコードを GrandOrgue の処理に持ち込むので、劣悪な ASIO ドライバは GrandOrgue をハングさせることがあります。

ASIO4ALL を使う理由はありません。なぜなら、これはネイティブなカーネル・ストリーミングの API (例えば WDM/KS)へのパススルーとして動作しますが、そうした API は GrandOrgue で直接使用できるからです。

JACK

GrandOrgue は Windows 版 JACK に対応するようにコンパイルできます。 PortAudio と RtAudio で使用可。使い方は Linux Jack をご覧ください。

macOS

CoreAudio

macOS ネイティブのオーディオ API である CoreAudio を使用できます。 RtAudio (や PulseAudio)で使用可。

Jack

GrandOrgue はコンパイル時に dows 版 JACK 対応にできます。 PortAudio と RtAudio で使用可。使い方は Linux Jack をご覧ください。

Linux

ALSA

Linux ネイティブのサウンド出力を RtAudio または PortAudio で使用できます。直接ハードウェアにアクセスできるようにするには、 Linux のユーザーアカウントがサウンドカードへのアクセス権限を持っていなくてはなりません。2

ALSA は "仮想" のサウンドカードのエントリも提供します。 "default" では、オーディオは現在デフォルトに設定されているサウンドカードへとルート設定され、共有アクセスが可能になります。ハードウェアにおける実際のサンプルレートが GrandOrgue のサンプルレートと一致しない場合、 ALSA がリサンプリングを開始するので CPU 処理が増加します。

ディストリビューションは PulseAudio デーモンでデフォルト audio のルート設定を行います。 PulseAudio を使いたくない場合には、 GrandOrgue を pasuspender(1) で起動することが可能です。

Jack

Jack オーディオ・サーバーへ接続することができます。 RtAudio と PulseAudio で使用可。

GrandOrgue は Jack の MIDI サポート機能も取り込むので、 MIDIバイスが2回( Jack 経由および OS ネイティブの API 経由で)表示されると思います。

GrandOrgue はネイティブのオーディオ API に対応しているので、 Jack はサウンド出力のスタックの複雑性を増加させます。したがって、 GrandOrgue を他の Jack アプリケーションと併用したいと思わなければ、 Jack の実行は避けてください。

Revert to default - デフォルト状態に戻す

このボタンを押すと、全てのオーディオ構成設定を破棄して、現在のデバイスに対して次のようなステレオ構成設定を作成します:

Channel 1:定義されたオーディオグループごとに一つの "left" エントリ。ゲインは 0 db 。

Channel 2:影技されたオーディオグループごとに一つの "right" エントリ。ゲインは 0 db 。

Managing Channels - チャンネルの管理

Add channel - チャンネルの追加

この機能はツリーの中の Device: のノードが選択された時に利用可能ですが、そのデバイスに対して現在定められているチャンネル数がデバイスの最大チャンネル数未満である場合にだけ、 Add ボタンがアクティブになります。

Add ボタンを押すと、次のチャンネル番号が付けられた新しいチャンネルが追加されます。新しいチャンネルが使える状態になるにはさらに(オーディオ・グループに対する)構成設定が必要です。詳しくは Managing Audio Groups をご覧ください。

GrandOrgue のチャンネルと、オーディオ・デバイスの物理的なチャンネルとの接続関係は、試行錯誤して探るしかありません。

Delete channel - チャンネルの削除

この機能はツリーの中にある Channel n のノードが選択された時に利用可能で、その際にデバイスに対して2つ以上のチャンネルが存在する場合に Delete ボタンがアクティブになります。 Delete ボタンを押すと、選択されたチャンネルがその構成設定ごと削除されます。

MIDI Devices tab - MIDIバイス設定タブ

図 6.4 MIDIバイス設定タブ

このタブ画面には利用できる MIDIバイスが全て表示されます。

Midi properties frame - MIDI プロパティ関連

Auto add new devices - 新しいデバイスは自動的に追加

このチェックボックスに印を付けると、 GrandOrgue 起動時に新しいデバイスがあれば全て自動的に有効にします。

Check on startup - 起動時にアクティブなデバイスをチェック

このチェックボックスに印を付けると、 GrandOrgue 起動時にアクティブな MIDIバイスが見つからない場合、 Program Settings 画面を開きます。

Midi ports - MIDI ポートの表示

MIDI ポートをチェックする/しないことで、 GrandOrgue が使用する MIDIバイスの一覧をフィルタすることができます。

MIDI input devices - MIDI 入力デバイスの設定

このチェックリストには利用できる全ての MIDI 入力インターフェースが表示されます。デバイスを選択すると、そのインターフェースを通してやって来る MIDI メッセージを GrandOrgue が監視するようになります。同時に複数のデバイスを監視することも可能です(例えば、コントローラーおよび、シーケンサーまたはループバック・デバイスの両方を監視)。

Advanced ボタンは入力チャンネルが選択されるまで灰色の状態です。押すと、選択した入力チャンネルの詳細プロパティを設定する画面が開きます。

図 6.5 MIDI 入力チャンネルの詳細プロパティ

この画面ではチャンネルのオフセットを設定できます。チャンネルのオフセットによって、衝突する MIDI チャンネルを持つ 2つの MIDI インターフェースを使用することが可能になります。例えば、ある MIDI インターフェースのチャンネル・オフセットを 8 に設定すると、そのインターフェースのチャンネル 1 がチャンネル 9 として、チャンネル 2 がチャンネル 10 として、などのように数がずれて現れるようになります。この機能は同一のチャンネルを使うよう設定された複数のキーボードを所有している時に役に立つでしょう。

GrandOrgue では MIDI インターフェースのマッチング機能が備わっていて、 MIDI 検出時にデフォルトで構成設定が行われるようになっています。したがって、チャンネル・オフセットを設定することなく複数のインターフェースで同一の MIDI チャンネルを使うことができます。

MIDI-Output-Device ボタンを押すと、出力デバイスを選択して、そこへ入力デバイスから受信した全ての MIDI イベントを送信させることができます。

Matching ボタンを押すと GrandOrgue が MIDIバイスを認識する方法を変更できます。

MIDI device matching properties - MIDIバイスのマッチング・プロパティ

図 6.6 MIDIバイスのマッチング・プロパティ

Physical device name - 物理的デバイス

MIDI ポートから通知される MIDIバイスの名前です。ユーザーには変更できない上、この名前が再起動をはさんでも変わらないとは限りません。

Logical device name - 論理的デバイス

ユーザーに表示される MIDIバイスの名前です。初期設定では物理的デバイス名と同じになっていますが、別の名前に設定することもできます。

論理的デバイス名は他とかぶってはいけません。

ユーザーが論理的な名前を変更した場合、 GrandOrgue がそのデバイスを物理的な名前で見つけられるように正規表現パターンが与えられなければなりません。

その場合、再起動するたびに現れるそのデバイスの物理的な名前の中で、最も共通する部分を特定してください。

Physical name regex pattern - 物理的デバイス名の正規表現パターン

ここで入力されたパターンは、 GrandOrgue が物理的デバイス名から MIDIバイスを発見する時に使われるものです。

最も単純なパターンの決め方は、再起動するたびに現れるそのデバイスの物理的な名前の中で、常に現れて保持される、最も共通する部分を指定することでしょう。さらに詳細な正規表現にも対応しているので、完全な記法を参照してください。

初期設定ではこの正規表現パターンは空欄になっていて、デバイスは物理的な名前が論理的な名前と同一の時にのみ発見されます。

MIDI output devices - MIDI 出力デバイスの設定

このチェックリストには利用できる全ての MIDI 出力デバイスが表示されます。デバイスを選択すると、 GrandOrgue は外部のハードウェアに MIDI 情報を書き出します。使用法としては、設定対象を SAM や LED のドライバにしてストップ制御フィードバックとる使い方や、設定対象を物理的なパイプのドライバにして実物のパイプオルガンをデジタル的に拡張する使い方などが考えられます。

Send MIDI Recorder Output Stream - MIDI 録音の出力ストリームの送信

Send MIDI Recorder Output Stream と名付けられたこのドロップダウンでは、 MIDI 出力デバイスを選択して、録音時に生成される全ての出力を受信させる対象とすることができます。選択されたデバイスMIDI output devices で有効にされていなければなりません。

このドロップダウンで出力デバイスを選択すると、 MIDI ファイルに録音されていない時にも録音出力が生成されます。

バイス一覧は Settings 画面が表示されるたびに再読み込みされます。

GrandOrgue は必ず MIDI 入出力ポートを接続先とします。 MIDIシーケンサー)ソフトウェアで、既存の MIDI ポートに接続しようとするだけのものは、 GrandOrgue と併用できません。そのようなソフトウェアを使いたい場合は、仮想 MIDI ポート3を作成して GrandOrgue や他の MIDI ソフトウェアがそこに接続できるようにしてください。そのポートの名前は GrandOrgue を含んではいけません。

Initial MIDI tab - MIDI 初期設定タブ

図 6.7 MIDI 初期設定タブ

この画面では MIDI の初期設定を変更できます。実物の演奏台に合わせた MIDI 設定を保存することが可能です。

サンプルセットが初めてまたはカスタマイズなしに読み込まれた時、これらの初期設定を使って MIDI イベント画面を初期化します。この MIDI イベント画面は GUI で(例えばマニュアル、ストップ、エンクロージャー、ピストン、など)制御できるものを右クリックすると開く画面と同じものです。

ユーザーが行ったカスタマイズは、対象となる要素が存在するとその初期設定を常に上書きします。カスタマイズがプリセット番号に保存された場合は、以降の読み込みにおいて常にこの MIDI 初期設定は無視され、さらに追加でサンプルセットの MIDI 構成設定をするにはユーザー・インターフェース上の要素を右クリックして行う必要があります。

読み込まれたサンプルセットに reset to default を実行すると、プリセット用ファイルが削除され、再びこの MIDI 初期設定を使って MIDI 構成設定を初期化します。

サンプルセット製作者はオルガン定義ファイルにおいて各 MIDIInputNuber にそれぞれ固有の値を定義しなければなりません。それらの値はこの MIDI 初期設定に対応する鍵盤のマッピングエンクロージャーのマッピングを正しく動作させるために使われます。

Group の列はその要素がどのグループにまとめられているかを示しています。 Element の列は要素の特定に使います。 MIDI Event の列は MIDI イベントが割り当てられているかどうかを示しています。

要素を選択して Properties ボタンを押したり、その要素の欄をダブルクリックしたりすると、その要素の MIDI イベント・エディターが開きます。

初期設定の対象となるのは、実物のハードウェアと結び付くもので、ディスポジションを変えても影響を受けない要素です:

Manuals Group - 鍵盤類のグループ

ペダル(常に Manual 0)と5つまでのマニュアルに対する MIDI 設定です。マニュアルは下(Manual 1) から上 (Manual 5) に向かって番号付けされます。

Enclosures Group - エンクロージャーのグループ

6つまでのエンクロージャーに対する MIDI 設定です。エンクロージャーは左 (Enclosure 1) から右 (Enclosure 6) に向かって順に番号付けされます。

Sequencer Group - Combination Setter パネルのグループ

コンビネーション・セッターで役に立つさまざまな操作機能に対する MIDI 設定です。

Previous Memory, Next Memory:メモリ・バンクを移動します。

Memory Set:メモリ・スロットにコンビネーションを保存します。

Current:現在のコンビネーションを呼び出します。

G.C.:ジェネラル・キャンセルです。

-10, +10:コンビネーションを呼び出さずに、(準備のために)現在のメモリ・バンクの10の桁を下げたり上げたりします。

__0 .. __9

最も右にある1の桁を xx0 から xx9 まで動かし、コンビネーションを呼び出します。左の2桁は +/- 10 操作によって設定してください。

Master Controls Group - Master Controls パネルのグループ

メイン・コントロールのパネルで役に立つさまざまな操作機能についての MIDI 設定を行います。

-1 Cent, +1 Cent, -100 Cent, +100 Cent

オルガン全体のチューニング量を動かします。

Prev Temperament, Next Temperament

音律を、一覧で前あるいは次にあるものに変えます。

Transpose -, Transpose +

キーを半音だけ上げたり下げたりします。

Organs tab

図 6.8 オルガン設定タブ

このタブ画面では登録されたオルガン一覧を管理します。

メニューの File > Open で読み込みに成功した全てのオルガンは自動的にこの一覧に登録されます。

この一覧でオルガンを選択すると、その詳細がこのタブ画面の底部に表示されます。

オルガンは様々な方法で登録できます。 .organ ファイルが初めて開かれた時、そのオルガンは登録されます。オルガン・パッケージ (.orgue) ファイルをインストールすると、パッケージ内にある全てのオルガンが登録されます。さらに、 Organ packages ディレクトリに置かれた .orgue パッケージは GrandOrgue 起動時に調べられ、そこで見つかったオルガンも全て登録されます。

この一覧は、 File メニューの Load, Open Recent, Favorites で表示される一覧に使われます。

各ボタンは1つ以上の行が選択されるまで灰色の状態のままです。

メニューの FIle > Load で現れる画面はこのタブ画面と同じものです。 File > Favorites ではその上位10個だけが表示されます。

Name - オルガン名

ODF に記載されているオルガンの名前です。

MIDI - MIDI イベント割り当て

Yes: MIDI イベントがこのオルガンに割り当てられています。

No: MIDI イベントはこのオルガンに割り当てられていません。

Path - パス

パッケージされたオルガンの場合:その .orgue ファイルへのファイルシステム上のパスです。

パッケージされていないオルガンの場合:その ODF ファイルへのファイルシステム上のパスです。

Builder, Recording - ビルダー、録音方式

それぞれの欄について ODF に記載されている内容です。

Organ hash - ハッシュ値

計算により作成された文字列で、キャッシュやプリセットのファイルの名前を構成するために使われます。

Package id - パッケージ ID

パッケージされたオルガンの場合のみ。オルガンとオルガンパッケージを対応させるのに使われる特定の文字列です。

Package name - パッケージ名

パッケージされたオルガンの場合のみ。オルガン・パッケージの名前です。たいていはパッケージされたオルガンの名前と同じですが、異なることもあります。

Path in package - パッケージ内におけるパス

パッケージされたオルガンの場合のみ。パッケージ内における ODF の相対パスです。一つのパッケージに複数のオルガンがそれぞれ別々のパスで入っていることがあります。

Package hash - パッケージのハッシュ値

パッケージされたオルガンの場合のみ。計算により作成された文字列で、 Organ cacheディレクトリ内のインデックス・ファイルの名前を構成するために使われます。

Package info - パッケージ詳細

パッケージされたオルガンの場合のみ。オルガン・パッケージについての詳細情報です。

Down - 下に移動

このボタンを押すと、選択した一つ以上の項目を一つ下に動かします。その項目が一覧の最も下にあるときは灰色の状態になります。

Up - 上に移動

このボタンを押すと、選択した一つ以上の項目を一つ上に動かします。その項目が一覧の最も上にあるときは灰色の状態になります。

Top - 最上部に移動

このボタンを押すと、選択した一つ以上の項目を最も上に動かします。その項目が一覧の最も上にあるときは灰色の状態になります。

MIDI...

このボタンを押すと MIDI イベント・エディターが開きます。そこでは GrandOrgue にサンプルセットを読み込むように指示する MIDI イベントを設定することができます。

この機能について考えられる使い方としては:回転スイッチを使って MIDI Program Change 信号を送れば、複数のサンプルセットの間を簡単に切り替えられるようになります。

Relocate - パスの修正

このボタンを押すとファイル選択画面が現れ、そのオルガンを開くファイルへの新しいパスを指定できます。これはオルガンファイルを別のディレクトリに移動した後に、元のパスがもはや有効でなくなった時に役に立ちます。

Delete Cache - キャッシュ

このボタンを押すと、選択したオルガン用のキャッシュを全て削除します。キャッシュファイルはユーザーが今回の設定を保存したその瞬間に削除されます。キャッシュは、設定によっては後で自動的に再作成されることがあります。また、メニューの File > Update Cache で再作成させることができます。

Delete Presets - プリセットの削除

このボタンを押すと、選択したオルガンに対してメニューの File > Save で保存された設定ファイルを全て削除します。そのオルガンに対してユーザーが行った設定は全て失われます。キャッシュファイルはユーザーが今回の設定を保存したその瞬間に削除されます。

Delete

このボタンを押すと、その行が一覧から削除されます。 GrandOrgue はそのオルガンの登録を解除します。

キャッシュやプリセットが保存されていたり、かつ/またはサンプルがキャッシュされていたりした場合、それらのファイルも一緒にディクスから削除されます。

.orgue パッケージに含まれるサンプルセットのファイルはディスクから削除されることはありません

Reverb tab

図 6.9 リバーブ設定

このタブ画面では、内蔵のコンボリューション・リバーブ処理エンジンの設定を管理します。

コンボリューション・リバーブは、ある室内応答の数学モデルを使って音声波形を変化させ、まるでその室内で発されたような音にするものです。室内応答はバンッという音(スターターピストル、風船の破裂、拍手、等)によって引き起こされます。その音を使うのは、全ての周波数成分を含むパルスに最も似ているからです。室内応答は壁、床、天井での反響音の音量や遅延、室内の大きさによる遅延によって作られます。このバンッという音を出した時の録音をコンボリューション処理エンジンに与えてリバーブされた音の波形を生成します。

普通は聴く者がまるで実際の室内にいるようかのに聞こえる効果をさらに出すために、このリバーブされた波形に直接耳に届く "dry" な音を混ぜることが行われます。

Enable Convolution Reverb - コンボリューション・リバーブの有効化

このチェックボックスに印を付けるとこの機能が有効になります。ポップアップが表示されるが、無視しても問題はありません。

Browse Impulse Response - IR ファイルの選択

このボタンを押すと、インパルス応答 (IR) ファイルを選択して読み込むための画面が開きます。現在の GrandOrgue で対応しているファイル形式は Wave (.wav) と WavPack (.wpk) のみです。

バーブを有効にするためには IR ファイルが必須です。

GrandOrgue 公式サイトの wiki には IR ファイルがダウンロードできるサイトへのリンクが貼ってあります。

Delay - IR 開始を遅らせる

このスピナーではリバーブ信号が開始する前に入れる遅延を設定します。この設定による遅延は、 IR ファイルそのものが生み出す遅延に付け足されます。

Start Offset - IR 開始を早める

このスピナーでは IR ファイルの開始点から数えて何個のサンプルを飛ばすかを設定します。

Length - 使用する IR の長さ

このスピナーでは IR ファイルから(オフセットから数えて)何個のサンプルを使用するかを設定します。

Channel - IR ファイルで使用するチャンネル

このドロップダウンでは IR ファイルのどのチャンネルを使用するかを設定します。録音方式によっては、 IR ファイルが複数のチャンネルを持つことがあります。現在の GrandOrgue のリバーブ処理エンジンは1つのチャンネルだけ使用します。

Gain - ゲイン

このスピナーではリバーブ信号に適用されるゲインを設定します。サウンドシステムへの過負荷によって発生するアーティファクトを避けるために、低い数値(0.1以下)を使用してください。

Direct Sound - リバーブなしの音の追加

このチェックボックスに印を付けると、反響無しで直接耳に届くようなダイレクトな音をリバーブされた信号に加えます。

バーブされた音を単体でオーディオシステムに与えると、通常は少しこもった、やや不明瞭な音になります。これは室内応答(遅延や、複数の反響など)によって変化がもたらされるからです。明瞭な音を得るには、ダイレクトな音を追加するしかないので、このボックスには常にチェックを入れたほうがいいでしょう。

コンボリューション・リバーブで処理した音だけを使用したい場合は、リリース終端の切り落としの長さを低い値に設定して、 "wet" な録音サンプルのリリースに含まれる残響を切り取ってください。

Temperaments tab

図 6.10 ユーザーが定義した音律

このタブ画面では、ユーザーが自分でカスタムした音律を追加できます。ユーザーが定義した音律はメニューの Audio/Midi > Temperaments で展開するサブメニューに表示されます。

Add ボタンは「空の」行を新規に追加します。

Delete ボタンは選択した行を削除します。

Group の列では、メニューの Audio/Midi > Temperaments で表示されるサブメニューのラベルを決めます。この画面で項目が追加されると、すぐにサブメニューのほうにも反映されます。同じ Group 属性をもつ項目は同じサブメニューにまとめられます。

Name の列では、サブメニュー内でのラベルを決めます。

c, c#, ..., b の列は音階の構成音のそれぞれに対応しています。この列では、その構成音が平均律を基準として何セントだけずらすかを決めます。

グリッドの値を修正する場合は、セルをダブルクリックしてください。修正された値は OK ボタンが押され次第すぐに保存されます。

音律はシステム全般の構成設定ファイルに保存されます。


訳文ここまで(ただし、脚注が下に表示されています)。


  1. ASIO4ALL もこのインターフェースを使用します。
  2. これは多くの Linux ディストリビューションにおいて、audio グループのメンバーに所属することを意味します。
  3. Linux では、 sudo modprobe snd-seq-dummy ports=9 を使ってください。